甘いバターの香り

地下改札にただようバターの甘い香り。

たぶん、いままで忘れてきたもの。

そんなものがきっとこれなんだろうなって。

わけわかんないなあ。


あのときはそれが全てで。でももう覚えてなくて。

いつからか、どうしたいとか何考えてるのかとかもわかんなくなってなくなって、ほんとはもうどうでもよかったのに。ぼろぼろだったことも気にしてないふりを続けてたって。

 

冷たい空気の地下に漂うバターの甘い香りだってずっと気づかなかったって。

君が見ていたものは、僕の見ていたものと、同じだったんだろうか。