救急車、愛しい人、雨

救急車の音が聞こえる。

自分は死にたいのに、

それとは反対に生きようと必死になっている人、それを助けたい人がいる。

 


午前4時すぎ 少し明るくなってきた頃。

 


愛しいひとが眠るかわいい寝顔をみて。

タバコの火をわけてあげたぼろぼろの服を着たあのおじいさんは、どこへ行くのだろう。

まだ少し雨、降ってますよ。

痛み、そして悲しみが全てだ

死にたい。

もう疲れた、もういやだ。

 

死にたいなんてこと、普通の人なら思わないのか?それを知ってはじめて自分が異常なんだと思った。死にたいなんて感情が湧いてこない人間なんてあたりまえに存在してて、死にたい感情を理解できない人間なんて沢山いるのかと驚いたことがある。

 

生きてたら、なんとかなる。死ぬこと以外かすり傷。

一度病気で死にかけた友人が、そう言った。一度死にかけたから、そう思うようになったって、よく聞く言葉をかけてくれた。

うん。

確かに、君はそうだよね。

死にたくもないのに、死にかけたんだから。

必死に頑張っていたことが全部台無しになって、本当に、辛かっただろうね。

 

でも、私は?

私は、どうなんだろう。

自分で自分のことを傷つけて、本気で死んでやろうと思ってもなんか、なんとか周りの人に助けられて、

大好きな友達や恋人がなぜか私を助けてくれて。それがどうしてなのかはわかんないままで。幸せで、一緒にいる時間はとても大切で、楽しくて、とてもありがたいことなのに。

どうして私は、まだ死にたいのか?

また自分を傷つけようとするのか?

 

頭が痛い。胃が痛い。熱が続く。涙が出る。 

会社には行けなくなって、医者にはうつ病だと言われて、優しい会社の上司でさえ、私を気遣いながら突き放した。

こんなにもしんどいのに体は生きようとしているのか?助けてほしいなんて言ってしまう。

 

大人は、当たり前のことしか言わなかった。

なにがしんどい?なにが苦しい?どうすれば楽になる?幸せになる?

そんなこと聞かれてもわからない。

うつだから、病気なんだからってそんな風に私を見ないで欲しい。

 

死にたいなんて思ってない人間が、私にかける言葉なんて私には理解できない。薄っぺらい。経験したものにしか絶対わからない。

 

先のことなんて、考えてねえよ。

そこまで生きる気なんてねえよ。なんなら私の中で、今はもう死んでるはずだったんだ。現実に執着なんて1ミリもしてない。

私なんかもうとっくに壊れてる。もっと早く、あの時、死んでおけば良かったんだ。

こんなの治るもんじゃねえよ。

治す気なんてねえよ。

…うるさいな。

 

痛み、そして悲しみが全てだ。

 

 

 

ばらの花たち

ばらの花束が届いた。

段ボールに収まった大きなばらやカーネーションで、ピンク色の紙に包まれたとても綺麗な花束だった。

 


その花束をみていると、苦しかった。だから、綺麗な川に流してしまえば、花は綺麗なままで苦しさから解放されると思った。

 


一本一本、ゆっくりと川に流した。

そのまま、海にたどり着いてほしい。

 


大きな、ピンク色の花びらをまとって、

タバコの白い煙と一緒に、ゆっくりわたしの前から遠ざかっていっていずれ暗闇に消えていった。 

わたしの虚しさも一緒に連れていってくれたらよかったのになあ。

 


おやすみ。さよなら。ばらの花たち。

どうか美しく、理想のままでいてね。

f:id:munohige:20200706214210j:image

 

夜の公園、紫陽花の蕾

やめたくてもどうしてもやめられないものがあって

なんとかしたくてもできないものがあって

はじめからやめる気もなんとかする気もないのかもね

逃げたり誤魔化して過ごしても真っ新にはなれないなあ

そんなこんなでもう6月です。

f:id:munohige:20200531015531j:image

恐怖と希死念慮

僕の前だけの君は好きだけど、僕以外のみんなの、誰かの前の君は、怖いなあと思った。

君は僕とは違う家庭で育って、違う学校に行って違う時を過ごしてきたんだから、君が何を考えているかなんてわかるはずもないけど、理解したいのに、知りたいのに。エゴだって知ってるけど、それは君には関係のないことだって、わかったんだけれど。

ずっと理解されたいと思ってきた。どうしてこんなに苦しくて、しんどくて、死にたいのに、誰もわかってくれないし、助けてくれないんだろって思ってきた。でも、わかるよって言われても、それはわかってないし、私の希死念慮なんて誰にも理解されないんだろうし、理解されなくていいから、君が笑っていられたら別にそれだけで十分かなと思うようになった。僕だって君のことを理解できてないんだから。

ほんとは人といるのなんて、しんどいんだろうけど、ひとりでいると寂しくて耐えられなくて自分で自分の首を絞めてる。

僕に価値があるなんて、君は嘘が上手だから信用してはいけないよ。忘れてはいけないよ、頑張らないと優しくしないとみんな離れていくんだ。僕は、僕が思っているよりも馬鹿だから。君は、僕が思ってるよりも弱いから。

純粋な子供のように、素直に、シンプルに優しくしたいと思った。今の自分は死んでしまえと何度も思った。死にたいとも、殺したいとも何度も思った。

生活のこととか、仕事のこととか、明日のこととかそんなことよりもっと、昨日読んだ漫画のこととか、散歩中に出会った猫とか、今度行きたい喫茶店の話とかくだらなくて、好きなことの話だけ続けられるなら、もう少し一緒にいたいなあ。

太陽の手、月の背中

薄暗い部屋の明かりに、ぬくもりのある太陽の手に緩く触れた。

僕は、何をしたいのかがわからないから、君が楽しそうで笑ってたらいいなと思った。

 

夜中に潰れそうになって、どうしようもない時、月の背中を見た。

急にどこか他人のような冷たさがひっそりとしていた。こんな時をどうやって過ごせばいいのか、何度経験しても乗り越え方が、未だにわからない。

徒歩30分

似合わないスーツには少ししわがよっていた。

近所の野良猫はあくびをしていた。

川沿いの桜の蕾は少し膨らんでいた。

このまま電車に乗り続ければ君の街まで行けるのになと思ったけど、結局降りて家に帰った。

今なら、あの時のあなたの気持ちもわかるんじゃないかなと思ったりした。

待っててなんて言われて、待っててもいいことなんて、なかったよ。待っててって言ったけど結局そっちに行けなかったよ。

宛先のない手紙。聴き慣れた音楽。お気に入りの歌詞。誰にも教えられない本。

暗い暗い暗い部屋だった。

置いていかれるのが怖くて、先に進んでるふりばっかりして寄り道してたけど、もうみんなはずっと遠くに先に進んでるから、追いつけない。